将来、航空業界での就職を希望されているみなさんにむけて、客室乗務員になるには、専門的な国家資格や認定証は必要なのかをご紹介させていただきます。

1.客室乗務員になるためには資格は必要?

調理師専門学校は調理師の国家試験を習得するために学校が存在します。エアラインスクールでも、キャビンアテンダントになるための資格習得をする学校だという印象を持っている方もいらっしゃいます。しかし、キャビンアテンダントになるためには、医師や弁護士などの国家資格は必要がありません。学校の教職免許状のように必要な単位修得を課せられることもありません。

ただし、客室乗務員になるためには、各航空会社の「客室乗務員の採用試験」に合格しなければ、当然、その会社の客室乗務員になるチャンスもなくなります。

各航空会社の「客室乗務員採用試験に合格」をして、その後、各航空会社で定められた「客室乗務員の新人訓練」を受講します。これらは全て航空会社によって違います。それぞれの訓練を受けて、試験をパスした人が初めて客室乗務員として働く資格が各社によって与えられるのです。

採用試験に合格しても、新人訓練で規定のレベルに達しないと退職、もしくは他の地上業務へ回されることもあります。

<客室乗務員になるには、2ステップの試験が存在する>

  1. 各社の客室乗務員の採用試験に合格をする
  2. 各社の客室乗務員の新人訓練に合格をする

2.客室乗務員を目指すなら取得しておきたい資格

それでは、最初のステップである客室乗務員の採用試験に合格するために必要なことをあげていきましょう。

各航空会社の募集要領には、受験するにあたり英語の試験のスコア基準が記載されています。そのため、客室乗務員自体には国家資格や認定試験はありませんが、受験をするために最低限の英語のスコアを習得していなければなりません。

ほとんどの航空会社が、英検やTOEICのスコアを表記しているので、どちらか一方の英語の認定を習得する必要があります。

2-1.TOEIC

主な航空会社のTOEICのスコアをあげていきましょう。

TOEIC

  • 600点以上(国内)
  • 600点から800点以上(外資系)

2016年頃までは英検2級以上、TOEIC 600点以上と募集要領に記載されている航空会社がほとんどでしたが、現在では英検表記が消えています。

「TOEIC600点程度以上、または同程度の英語力を有していること」と記載されていれば、英検で2級程度あれば受験可能です。

ANA募集要領によると

全日空では独自の外部の英語試験(GTEC-LR)を受講するようになっています。

「※TOEIC600点もしくはGTEC 260点以上の英語証票を1次選考会場にお持ちいただける方は英語試験を免除いたします。英語試験の免除に必要な証票の詳細については、英語試験受験方法のご案内を確認してください」ANA HPより引用

ANAの客室乗務員を目指している方は、GTEC-LR試験を前もって受験しておくとよいでしょう。

<参考>

2-2.第二外国語

日本に来る外国人が増えている近年、英語以外の語学も必要になってきています。

外資系航空会社の日本への乗り入れも増えて来ています。そのため、外資系の日本人採用も増える傾向にあります。また、日本の航空会社でも第二外国語が話せる人材を確保したいところです。

特に、近隣のアジア諸国の言語である中国語・韓国語などは学んでおくと有利でしょう。エールフランスを受験するのなら、フランス語など航空会社の本社のある言語を学んでおくことをおすすめします。

3.持っておくと仕事の役に立つ資格

それでは、言語以外にキャビンアテンダントをする上で役に立つ資格をご紹介しましょう。

3-1.手話技能検定

手話を必要とするお客様もいらっしゃいます。お客様と意思疎通をする上で、筆談をすることもあります。しかし、手話ができればもっとスムーズにお客様とコミュニュケーションがとることができます。

検定級は7級から1級まであります。年2回実施されています。7級は在宅で試験を受講できますので、いつでも受験可能です。

参考:http://www.shuwaken.org/

3-2.サービス接遇検定

サービスに対する心構えや顧客心理、対応の技術、言葉遣い、立居振る舞いなどを学ぶ接客マナー検定試験です。年2回実施されています。3級から1級まであります。

参考:http://jitsumu-kentei.jp/SV/guidelines/contents

3-3.看護系資格

機内では急病人が発生することもあります。看護師の資格を持っている人は客室乗務員になるには有利です。看護師は国家試験ですので、看護系の学校で学び資格を習得します。

文系の学部を出ていなくても、看護師でも客室乗務員の受験は可能です。

3-4.サービス介助士

サービス介助士とは、高齢者や障がいのある人を手伝う時の「おもてなしの心」と「介助技術」を学び、お手伝いができる人を育成する資格です。

搭乗されるお客さまを、安心して機内へ案内できるように習得しておくとよいでしょう。

参考:https://www.carefit.org/carefit/

3-5.ソムリエ

機内には各国のVIPのお客様も登場されます。お客さまにワインをご紹介したり、サービスをする時に役に立ちます。ソムリエを習得するには経験を積まなくてはいけません。

しかし、ソムリエ協会の主催するワイン検定はワインの入門編の検定試験です。気軽にワインを学ぶことができます。

参考:https://www.winekentei.com/about/

3-6. 赤十字救急法救急員資格

心肺蘇生法やAEDの使用法、気道異物除去などの一次救命処置の仕方を学べる資格です。

受験日や開催場所については、各県の赤十字HP上で告知されます。

参考:http://www.jrc.or.jp/activity/study/kind/emergency/

4.客室乗務員に必要なスキル

客室乗務員には大きく二つの役割があります。1つはお客様をおもてなしする接客業。もう1つは緊急保安要員です。

どちらにしても、常に臨機応変な対応が必要になってきます。お客様を相手にしてのお仕事は、マニュアル通りにはいきません。客室乗務員の機転と思考力・判断力・行動力が必要不可欠です。

語学堪能であれば、外国のお客様とのコミュニケーションがとりやすい。手話ができれば、手話を必要とするお客様を安心してお迎えすることができます。このように客室乗務員の力量しだいで様々なサービス対応ができます。

お客さまのために自分ができるサービスは何かと常に考え、各々がスキルアップする必要があります。あなたができることが増えれば、サービスも更に向上するのです。

もっとも客室乗務員が必要なスキルは、自分を高めることができる向上心と積極性でしょう。

5.資格がたくさんあればいいわけではない

資格がたくさんあればあるほど、採用されるかというとそうではありません。資格を取る時に、あなたが「何を思い、何を学び、何のために資格を習得したのか」が一番大事な要素です。

あなたがどんな志を持って資格を習得し、その上で客室乗務員の受験をするかを面接でもハッキリと言えるようにしていきましょう。

そして、それらの資格が現場の機内で発揮することで、初めて資格を活かすことができるのです。

6.客室乗務員になるために本当に必要な事

客室乗務員になるために本当に必要なことは、「あなたのやる気」です。やる気があれば、英語のスコアが上がるように努力します。客室乗務員として、あなたはお客様にどんなサービスをしたいのかと考え、それに必要な知識と技術を身につけます。

客室乗務員として自分がどうありたいのかを本気で考え、実行していくには「あなたのやる気」は欠かせません。その過程で習得した資格は、現場でも大いに役に立つことでしょう。

客室乗務員を目指す方へ

客室乗務員になるためには特別の資格は必要ありません。しかし、採用試験を受けるためには、英語の試験のスコアが不可欠です。英語を習得した上で、他の受験者と差をつけるには、他の人にはない資格を持っていると有利でしょう。

面接試験では「あなたはどんなサービスができますか?」と尋ねられた時に、堂々と答えられる人を航空会社は必要としています。誰にでもできるサービスではなく、あなたにしかできないサービスとは何かを考えて、資格習得を目指していくとよいでしょう。