グランドスタッフの仕事は、飛行機が安全に運航するための業務と並行して、お客様が快適にご旅行されるためのサービス提供をも行う接客業です。

しかしながら、たとえ全スタッフがサービス提供のために完璧な仕事をしていたとしても、残念なことにお客様の気分を害してしまう何らかの事態は起きてしまいます。ご旅行中に不快に感じた体験をご自身で消化されるお客様もいらっしゃれば、クレームという形で怒りを表すお客様もいらっしゃいます。

どんなクレームに対してもグランドスタッフは航空会社の規定に則り、航空会社の一職員として誠意を持って速やかに対応することが望まれます。

グランドスタッフでよくあるクレーム対応1

手荷物受取場(バゲージクレームエリア)でのことです。飛行機が到着し、手荷物受取場にて入国審査を済ませたお客様をご案内していました。すると一人の男性が険悪な表情で近づいてきました。そのお客様がおっしゃるには、ターンテーブルから受け取った時にはお客様のスーツケースはすでに取手が壊れた状態であったそうです。今回のご旅行のために新しく新調したスーツケースだそうで、旅の終わりがこのような終わり方で最悪な思い出となってしまったとお怒りです。

お客様の立場に立つとお怒りはごもっともです。バゲージクレーム業務をしていると珍しくないケースかもしれませんが、お客様にとっては初めてのことで考えてもみなかった事態でしょう。

例えばまだグランドスタッフになってから日が浅く対応の仕方が分からなかった場合、お客様のお話を遮ってまでバゲージクレーム担当に代わってもらうのでは誠意が伝わりません。お客様にとってはどのスタッフも同じです。理由も最後まで聞いてもらえずにいきなり担当者が変わるのはお客様にとって決して気分の良いものではありません。お客様の理由をお伺いして速やかに状況を正確に把握し、同じ内容を再度お話しすることのないように担当スタッフに簡潔に伝えて対応を交代してもらうべきでしょう。

お怒りになった状態のお客様はスタッフの対応に対しても敏感になってしまいます。スタッフの返事や言葉遣い、表情や視線などからも誠意は簡単に読み取れます。クレームをこれ以上大きくしないためにも速やかな対応が必要です。

グランドスタッフでよくあるクレーム対応2

発券カウンターにて仕事をしていたら外国人のお客様が航空券の予約を取り直しにいらっしゃいました。ヨーロッパにお住いのビジネスマンです。出張でアジアの国々を周り最後に日本にいらっしゃいました。これからヨーロッパに帰られるのですが、仕事が予定より早く終わったので、航空券の出発日ではなく今日のフライトで帰りたいとのことです。航空券を確認しますと、フライトの日にちを変えるにはペナルティチャージをお支払いいただかねばなりません。ご自身で購入したのではなく会社が購入した航空券だそうです。お怒りではありませんが、前回は差額など支払わなかったから納得のいく説明をしてもらいたい、とおっしゃっております。

このようなクレームを解決するためにはスタッフの知識と語学力が必要です。そして正当な理由がわかればあっさり納得してくだり、ほんの短い時間で済む場合が多いです。

お客様の中でいったい何人の方が航空券に詳しいでしょうか。グランドスタッフとして働き出すと初心を忘れてしまいがちです。このビジネスマンがそれぞれの航空券の仕組みやルールについて疑問を持たれても何らおかしくありません。

この場合は速やかに語学が堪能なスタッフがその航空券のルールについて説明することが望まれます。クレーム対応だけにとらわれるのではなく、他のスタッフにカウンター業務をしばらくお願いするなどして、後ろで並んで待ってらっしゃるお客様を長らく待たせないよう配慮もします。

クレーム対応のコツ:誠意を持って速やかに

グランドスタッフの仕事において受けるクレームのほとんどは、自分のミスのせいで生じた問題に対してではなく、自分とは一切関係のないところからからやってきます。また、「スタッフが何らかのミスをしたから」というよりは「説明不足」からクレームに繋がることも少なからずあります。

思いがけない事態においても笑顔で冷静にクレームされる方もいらっしゃれば、激しい怒りをスタッフにぶつけてくる方もいらっしゃいます。クレームの種類は実に様々です。

クレーム対応において一番大切なのはお客様のお気持ちを汲んで誠意を見せることです。どんな状況であっても、グランドスタッフは感情的になってはいけません。どのような経緯でクレームにつながったのかをお客様の立場に立って冷静かつ正確に判断し、一人で解決できないクレームなら先輩や上司の指示を仰ぎながら航空会社の規定内で速やかに対応します。

クレーム対応のコツ2:クレームを恐れない

接客業においてクレームは必ず発生します。そしてクレーム対応は骨が折れる仕事です。しかし、クレームを恐れていてはグランドスタッフとしても成長できません。誠意をもって対応すればお客様にご理解いただけるはずです。そしてグランドスタッフの仕事はチームワークですので、一生懸命仕事に臨んでいると必ず誰かが助けてくれます。

誠意を持って対応することで「苦情」が「感謝の言葉」に変わることもあるのです。クレームを必要以上に恐れることなく、対応ができるようになるまでは先輩から助けてもらい、そして先輩から学びながら経験を増やしていくことが必要です。

 

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